日本文壇史2 新文学の創始者たち (講談社文芸文庫)のレビュー

歴史は真っ直ぐには進まない!
【ネタばれ注意】

滝沢馬琴が、日本最大の小説家であることが

通念とされているなかで、坪内逍遥、二葉亭四迷に

よって切り開かれた、新しい文学と言文一致の思想は

まるで封建制度が復活するかのような時代風潮の中で

風前の灯となる。

それまで全く忘れられていた井原西鶴が見直され

その文体を参考に作品をつくる

尾崎紅葉と幸田露伴が時代の寵児となっていく・・・・

その他、この2巻では、森鴎外がデビュー、

正岡子規、樋口一葉などが顔を見せ始めます。

それにしても、読んでいてつくづく

伊藤整は、すごい仕事をしたんだなーと感嘆してしまう。

登場する作家の年齢、給料、原稿料の記載が細かい。

誰が誰を訪れて、深夜まで話し合ったなどなど

文士どうしが、人脈を絡み合わせる模様が目に浮かぶ。

・・・・

記念すべき、帝国議会における史上初の議員発言の内容

にはズッコケました。
無名のまま消えていった人々も
 明治19年から24年まで。口語文の出現によって新しい文学が次々に生み出されていくかと思うとそう簡単にはいかない。
 重要なのは文体だけではなく内容がよくなくてはならないわけで、もてはやされた山田美妙はしだいに評価が低くなっていく。

 読んでいて心を打たれるのは、小説を書いて人に知られたいと思いながらも志を得ず消えていく人が少なくない、ということだ。いつの世でもそうだし、小説に限ったことではないが、無名のまま消えていった人々の上に歴史が存在しているのだ。