日本文壇史1 開化期の人々 (講談社文芸文庫)のレビュー

面白い。24冊あっても、飽きることがない
単行本で読みました。
作家のいろいろな行状が書いてあって楽しい。ゴシップめいたこともあるし、文章も平易で分かりやすい。24冊もあるので、ちょっとと思うかもしれないけれど、とりあえず第1巻を読んで欲しい。日本の近代文学に興味がある人ならスラスラと読めるはずだ。タイトルに偽りなし。
文学史が、こんなに面白くなってしまっている!!
雑誌に掲載が開始された時は、

明治7年、坪内逍遥が16歳で愛知の外国語学校に

両親に付き添われて入学するところから

スタートしたらしい。

しかし、単行本化された時には、

明治3年までさかのぼり、

新時代となって、食うに困った(?)

仮名垣魯文が、福沢諭吉をパクって

『西洋道中膝栗毛』を書くところからスタート

することになった。

さらに、話はもう少し江戸末期まで戻り、

仮名垣魯文が、82歳で既に盲目となっている滝沢馬琴に

出版する本の推薦文をもらいに行くエピソードなども組み込まれる。

ここら辺から、一気に伊藤整マジックにはめられ、

最高のエンターテイメントを満喫することになりました。


また、江戸の戯作者が、道具屋か薬屋を兼業しなくては

やっていけなかったとか、

明治のジャーナリズムを支えたのは江戸時代からの

戯作者たちだったとか、

外国語学校の一部が商業学校と合併された時、

外国語学校の生徒が、「丁稚学校」に

編入されてたまるか!!と感じ、

退学するものもあった(後の二葉亭四迷もその一人)

など、明治時代の社会史的な面を知ることもできます。

おもしろい! 構成がしっかりしている!
 書名から想像していたのとは全く違う面白い本だった。
 明治維新の少し前から、坪内逍遙が脚光を浴びるあたりまでが書いてあるのだが、ほとんど水滸伝の世界だ。
 あちらこちらで別々に好きなことをやっていた連中が少しずつ関係しあって日本文学の新しい方向性を生み出していく様子が、実に面白く書いてある。

 特に、登場する時にはみな本名で書いてあるので、それが後に何という名で有名になる人物なのかわかったりわからなかったりするのがまた面白い。「森林太郎」はすぐにわかるが、例えば、 「またこの山田と同じ級には、英語と漢文がよく出来て、ときどき教師いじめをするが、毎日ボートとか流行りだした野球とか器械体操とか、運動ばかりやっている塩原金之助という、顔にアバタのある学生がいた。」 などとさらりと書いてある。これが夏目漱石であることは巻末の索引で引いてみるまでわからなかった。漱石が出てくるのはこの巻ではここ一カ所。おそらく、先々までの構成が出来ていて、こういう書き方をしたのだろう。